とある内向型のASDブログ

発達障害について書いています。

少数精鋭の企業に、「発達障害が長続きしない」と思う6つの理由

こんにちは、マシロです。

 

発達障害者、または発達障害かもしれないという方、グレーゾーンの方で、少人数の企業に就職してしまい、苦労したことがある人は多いのではないでしょうか?

 

僕もその一人です。大学を卒業して、新卒で入った企業が少人数の企業で、地獄を味わっていました。

 

就活をしていく中で、発達障害の特性からか、大きい企業の試験を受けても内定を貰えず、悩んでいた時に相談に行っていた就職相談所にて紹介してもらった企業が、僕が新卒で入った少人数の企業(店舗の内装の設計・施工会社)でした。

 

 

社員の人数は、社長といった役員を含めても10人に満たないような、非常に少人数の企業でした。(役員を抜くと、1桁しか社員はいませんでした。)

 

そこで今回は、発達障害アスペルガーASD)当事者の僕が経験した、

 

「少人数の企業に、発達障害者が就職するとどんなことが起こるのか」

 

を書いてきたいと思います。

 

・過去に少人数の企業にいた方

・今、少人数の企業に就職して苦労している方

・これから先、少人数の企業に就職を考えている方

 

の参考になればうれしいです。

 

少人数の企業に就職すると何が待っているのか?目次

少人数の企業に発達障害が就職すると何が待っているのか?(少人数の企業の特徴)

僕が感じた、少人数の企業の特徴と、発達障害者が少人数の企業に就職すると、何が待っているのか、を話したいと思います。

 

少人数の企業の特徴1.自分が配属された部署の仕事だけでなく、他の部署の仕事もやる可能性が高い。(いわゆる、なんでも屋)よって、マルチタスクになりやすい。苦手な仕事をやることになる。

 僕が就職して配属になった部署は、設計や施工管理(現場監督)に関する仕事が主でしたが、時間が経つにつれ、本来は事務がやる見積などの書類作成などもやらされるようになりました。

 

 僕は、大学生の時に設計をしていたので、CADによる設計はまだできたのですが、見積のような書類作成はあまり得意ではありませんでした。

 

 先輩に教えてもらっても、よく分からない。どういう見積を作れば正しいのか分からない。

 

見積は最後に社長が確認していたので、僕は、毎回のように怒鳴られていました。見積や書類作成への苦手意識が強くなってしまいました。これにより、どんどん精神的に追い詰められていたと思っています。

 

基本的に少人数だと、人の余裕がないので、表面的には仕事内容を分けていても、実際は事務の人がやるような、仕事の見積などをやらされることが多かったです。

 

(逆に、事務の女性が、現場に行き、施工の手伝いをする、といったこともありました。)

 

よって、自ずと設計だけでなく見積、電話対応など、マルチタスクになっていきました。

 

さらに、電話にでたときには、話の内容を記憶できない。メモをしてもよく分からない、といったことが起こり、劣等感が強くなっていきました。

 

少人数の企業の場合、やはりパーソンパワーが足りないと思います。

 

オールマイティになんでもできる人が欲しいのだろうか。会社の会長も、「なんでも屋にならないといけない。」と言っていたほどです。

 

その企業は歴史があり、ずっと働いてきた60代のベテランも多かったので、

なんでも屋になる」

という考えが根強く残っていたと思います。

 

少人数だと、「一つの事だけをやる」ということが大きい企業よりもはるかに難しい、と思います。

  

少人数の企業の特徴2一人一人が非常に重要(大人数と比べて)。ゆえに、発達障害の悪い部分が目立つ。

少人数の企業(例として10人とします)では、仮に社員全員で100万円の利益を出すとしたら、

大人数(500人とします)の企業の場合、社員一人当たりの売り上げに対する影響は2000円となるが、

これが10人の企業だったらどうなるでしょうか?

 

一人当たり、なんと10万円も売り上げに影響を与えてしまうのです。

 

よって、このような少人数の企業では、一人欠けると企業の利益が変化してしまうので、一人一人のスキルがかなり重要になってきます。

 

果たしてこのような企業に、得意不得意がはっきりしている発達障害者が、定型枠で(おそらく障害者枠はないでしょう)就職して、安心して働くことができるでしょうか。

 

一人一人にかなり質のいい優秀なスキルを求めるので、少人数の企業には、

 

・自分のスキルにかなりの自信があって

・なおかつ少人数の小さい企業を自分の力で大きくしたい!

・と考えているエリートな人

 

の方が向いているような気がします。

 

だからこそ、発達障害者が仕事でよく困っていることであろう、

 

マルチタスクができない。

・電話が苦手。

・会議の内容がつかめない。

・同じミスを繰り返す。

 

など。

 

があったりすると、少人数では仕事が回りにくくなってしまうのです。なので、悪い部分だけがどんどん目立っていき、苦しくなってしまいます。

 

さらに、社内で失敗があったりすると、「誰がやった?」ということがすぐに広まってしまうのです。

 

発達障害者は、少人数よりも、例えば会社内で10人休んだ人が出てきたとしても、全く社内に違和感のないくらい大きい企業の方が、仕事も細分化しており、働きやすいと思います。

 

少人数の企業の特徴3.教育が不十分。成り立っていない。

特に新卒で少人数の企業に就職する場合、この教育が不十分なのは発達障害者が苦労するところだと思います。

 

私が新卒で入った少人数の企業では、実際に就職する前に、3月中旬ごろに2日間、会社で入社前オリエンテーションがあり、この詳細がのった書類を郵送で受け取っていましたが、その書類には、

 

「敬語の使い方や電話対応といった社会人の常識、マナーについて教育する」

 

と書いてありましたが、

 

いざオリエンテーションになったとき、このような話は一切でてこず(新卒の人が部屋に集まり、会社の取締役から説明がありましたが、このようなマナーなどの話は一切なく)、すぐに入る部署に移動し、いきなり仕事の説明を会社の先輩からされました。

 

教育という教育を受けることはありませんでした。

 

社会人になりたてで、社会について右も左もわかっていないのに、これはどうだろうか。何が正しいのか分からない。

 

また、働くことになっても、少人数の企業の場合、会社の先輩も

 

・比較的余裕のない

・なかなか教えてくれない人

 

が多かったので、教育の環境が整っていないような気がします。

 

僕のいた少人数の企業では、人の出入りが激しく、

 

60代前後の大ベテランと、20代の超若手の二極化

 

にはっきり分かれていたので、(ブラック企業ですね…)慣れていない感じがしました。

 

 

また少人数の企業では、発達障害あるなしに関わらず、ストレスに弱い若者は、職場環境などですぐに辞めてしまう人が多かったです。

 

長く働いているベテランの人は、そのような若者と仕事をして、すぐに辞めてしまうので、昭和の考えが抜けないのか、

 

・若者に対してきつめに接してきたり

・扱いが雑なところがあるため(いわゆる、職人気質気味)

 

それで辞める人も多かったです。

 

発達障害者は、手探りで教育をしている企業よりは、

 

しっかりと教育の仕方が成り立っている企業

(名のある企業、または社員が多く、若者が継続して働いている企業)

 

の方が安心して働けると思います。

 

少人数の企業の特徴4.社長が曲者。その社長と毎日同じ部屋で仕事をすることになる。

 普通、それなりに大きい企業で、部署など細分化されている場合は、社長(代表取締役)と顔を合わせて仕事をしたり、会議をするのは、役員といった役職についている人が主になると思うのですが、

 

少人数の場合、一人一人が会社にとって非常に重要になるので、社長も常に社員を見ていないといけません。(もちろん、大きい企業もあると思いますが、少人数は大きい企業よりもこの傾向は多いと思います。)

 

よって、いつも仕事をするときは、社長も同じ部屋の中にいる状態でした。

 

 この社長が、性格がよくて面倒見のいい人ならばいいのですが(もちろん相性もあると思います)、会社の利益が関わっているので、どちらかというと、社内の人には厳しい人が多いのか、と思っています。

 

 また、会社の社長(いわゆる経営者)は、意外にも発達障害を持っている人も多いような気がします。(もしかしたら発達障害者の方は、気付いているかもしれませんが)

 

・仕事一筋だったり

・自分の意見は頑なに曲げなかったり

 

曲者が多い印象です。(もちろん、発達障害だからといって、必ず発達障害者全員と気が合う訳ではありません。)

 

そんな社長と近くで仕事をする可能性があるのですが、この、

 

「社長と仕事をする」

 

ということが私にとって一番の地獄でした。

 

その社長は、

 

①常に声が大きく、その声が自分が社長から離れていても頭の中に残ってしまうくらいの不快な声をしている。(実際に、社長が取引先と電話しているときに、声が大きすぎて、電話相手の取引先の方が難聴になってしまった、ということがありました。)

②自分の仕事の失敗を平気で他人のせいにしたり、やつあたりする。

パワハラ発言が多い。

④社員が働いている中で平気で怒鳴り散らす。

 

というトンデモ人間(おそらく悪いところだけを集めた発達障害者であろう)であったため、自分に関わらず、若手の人はすぐに辞めてしまうような企業でした。どうですか、このような企業で働きたくないでしょう?

 

人間関係が得意ではない発達障害者がこのような社長につかまると、かなり精神的に苦しくなると思います。

 

 

少人数の企業の特徴5.少人数であるため、役職といったものがなく、会社の構成について分からない。

 

しっかりした企業であれば、

業務部、技術部、製造部

 

などと部署がはっきりと分かれていて、さらに

 

業務部営業課、業務部○○課主任、

 

などと細かく役職が決まっており、細かく分かれているからこそ、業務内容も細分化していて、部署移動、というものも存在するのですが、

 

少人数であれば、基本

 

業務内容は、細分化せず、いわゆる何でも屋

 

みたいな感じになります。

 

よって、私の配属した部署の仕事内容が自分にとってかなり難しいので、部署異動させてほしい、といった部署異動の相談をすることができない。

 

さらにこれにより、「役員とは一体誰のことを言うのか?」となっていたので、企業の構成などもさっぱりわからないままでありました。

 

転職して社員が十分にいる(3桁いる)企業で働き始めて、初めて役員、取締役、課長、部長といった役職について知ることができました。

 

 

少人数の企業の特徴6.発達障害を分かってもらえない可能性が高い。(定型枠で入社した場合)

 

 これは発達障害者にとって大きいことではないでしょうか。

 

 発達障害のことを会社に言わずに入社した場合、障害者枠でなく、定型枠として入社しますが、働いていて「やはり、仕事がうまくできなくて苦しい。告白して負担を減らしてもらいたい。」と思い、告白したとしても、分かってもらえないのです。

 

 僕は、少人数の企業にいた時に、発達障害が発覚し、かなり精神面で追いこまれたので、恥ずかしいことですが、親に会社に来てもらい、親に障害のことを社長に説明してもらいました。(社長が人の話を聞かず、パワハラの多い人だったので「自分で言っても無駄だ」と思ったので。)

 

 しかし、表面的には理解してもらっても、結局大きい変化はありませんでした。

 

相変らず業務がきつく、緩和がありませんでした。

 

 前述したように、少人数では、大人数の企業より一人一人の力が必要になることが顕著になると思うのです。

 

・少人数だからこそ、周りの社員と同じくらい仕事ができないと会社が回らない。

 

・会社も少人数で回すことで精一杯だ。

 

この環境では、会社側も、発達障害を受け入れて、業務の緩和をしたくても難しいのだと思います。

 

 

発達障害者は、劣等感で就職先を選びがち

発達障害者の中には、内定がなかなか貰えずに劣等感が強くなって、結局、いい会社でなく、少人数でブラックな企業にひっかかりやすいような気がします。中には、何度も転職を繰り返しては、ブラック企業を引き当てている人もいるはず。

 

少人数の企業だと、基本的にいつも人手不足(人の出入りが激しい)なので、

「来る者拒まず!」で、人の多い企業と比べて、簡単に内定がもらえやすいと感じています。

 

もちろん、こんな人の出入りの激しい企業なんて、ろくなことのない企業ですよ!

 

 

内定が出たからと言って、必ずその企業に就職する、という決まりはありません。

 

なかなか内定がもらえないからと、「内定が出たから就活終わり!」

 

でなく、よく考えて就職先を決定してほしいと思います。

 

 

「どういう企業で働きたいか」というのは、発達障害者でも様々だと思いますが、それでも少人数の企業は避けた方がいいです。

 

入社するならば、

 

・最低でも3桁は社員がいる(正社員だけで。派遣は除く)企業で、

 

部署がはっきりとしているところがいい、と思っています。

(もし、配属された部署が、苦手な分野の仕事だったら、異動させてくれる可能性があるので。)

 

10人前後だとかなり苦しむと思います。(僕は、転職で重要視したポイントの中に、社員の多さ、が入っていたくらいです。そのくらい、社員の人数が多いほど、業務は楽になりやすい。と感じています。)

 

 

少しでも、発達障害者のみなさんが、少人数の企業に入らないでほしい。捕まらないでほしい。と強く願っています。